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空き家の固定資産税が高い…。
節税のための売却タイミングとは?

空き家の固定資産税が高い…。<br>節税のための売却タイミングとは?

日本全国で空き家問題が深刻化する中、相続で取得した空き家の固定資産税負担に悩む方が増えています。特に市川市のような都市部では、活用予定のない空き家でも毎年高額な固定資産税が課せられ、所有者の経済的負担となっています。

さらに、管理が不十分な空き家は「特定空き家」に指定され、固定資産税が最大6倍になるリスクもあります。株式会社NR企画では、市川市を中心とした不動産売却を通じて多くの空き家問題に携わってきた経験から、適切な売却タイミングと節税対策について詳しく解説します。

空き家問題の現状と固定資産税負担

空き家増加の背景と放置による問題

日本における空き家問題は年々深刻化しています。若者の都市部への移動、人口の高齢化、親が施設に入居するといった社会的変化により、全国の空き家率は13.6%(総務省 住宅・土地統計調査 令和5年)に達しています。

放置された空き家は、建物の老朽化による倒壊リスク、異臭・害虫発生、不法侵入による治安悪化など、周辺住民にも深刻な影響を与えます。また、庭木の越境や景観悪化により、近隣トラブルの原因となることも少なくありません。

空き家所有者の経済負担

空き家を所有し続けることで発生する主な負担:

負担項目

年間費用目安

備考

固定資産税

10万円~50万円

立地・評価額による

都市計画税

2万円~15万円

市街化区域内の場合

維持管理費

5万円~20万円

草刈り、清掃、点検等

「特定空き家」指定による固定資産税の増額リスク

空き家問題を解決するため、空家等対策の推進に関する特別措置法により「特定空き家」制度が導入されました。管理が不十分な空き家に対して「住宅用地の特例措置」を排除することで、固定資産税が従来の最大6倍になる可能性があります。

特定空き家に指定される主な条件: - 建物の劣化が進んでいる(屋根・壁の損傷、窓ガラスの破損等) - 不衛生な状態(ゴミの散乱、害虫・害獣の発生等) - 周囲の安全に影響(倒壊の危険性、不法侵入リスク等) - 景観を著しく損なう状態

重要:自治体からの勧告を受けた時点で住宅用地特例が除外され、固定資産税が大幅に増額されます。

本記事の目的:活用予定のない相続不動産は、放置による価値低下や損失リスク、維持費・固定資産税の負担を抑えるため、適切な売却時期や活用方法を検討することが重要です。特に、売却時に利用できる節税特例と、その適用に必要な「売却タイミング」に焦点を当てて解説します。

空き家売却の方法と基本的な費用・税金

空き家売却のメリット

経済的メリット - 固定資産税・維持管理費からの解放 - 一時的な現金収入の獲得 - 将来の損失リスクの回避

時間的・精神的メリット - 管理業務からの解放 - 近隣トラブルの心配がなくなる - 相続争いの原因を除去

主な売却方法

1. そのまま売却(中古住宅・古家付き土地として) - メリット:解体費用が不要、住宅用地特例が継続適用 - デメリット:建物の状態により売却価格が下がる可能性
2. 更地にして売却 - メリット:買い手が付きやすい、土地の価値が明確 - デメリット:解体費用(木造で1坪3万~5万円)、住宅用地特例の除外 - 重要:毎年1月1日時点の状況で固定資産税が決定されるため、取り壊しは1月2日以降に行うと、その年の税額を抑えられる
3. 不動産会社による買取 - メリット:最短1週間で契約、確実な売却 - デメリット:売却価格が市場相場の約6~8割

売却時の主な費用と税金

主な費用 - 仲介手数料:(売買価格×3%+6万円)×消費税 - 解体費用:木造1坪3万~5万円、鉄骨造1坪4万~6万円 - その他:不用品処分費用、測量費用等

譲渡所得税

譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)

税率は所有期間により異なる: - 短期譲渡所得(5年以下):39.63% - 長期譲渡所得(5年超):20.315%

印紙税:売買契約書に課される税金(軽減措置適用時1万円~3万円)

譲渡所得税の節税に繋がる2つの特例

空き家の固定資産税が高い…。<br>節税のための売却タイミングとは?

重要な注意点

「取得費加算の特例」と「空き家特例」は併用できません。どちらの制度を利用すれば節税額が大きくなるかを事前にシミュレーションし、判断が難しい場合は税理士などの専門家への相談を強く推奨します。

1. 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(取得費加算の特例)

制度の仕組み 相続した不動産を売却した場合、相続税の一部を売却した不動産の「取得費」に加算できる特例です。これにより譲渡所得が減り、譲渡所得税の節税につながります。

主な適用要件 - 相続や遺贈により財産を取得した人であること - その財産を取得した人に相続税が課税されていること - 相続開始から3年10か月以内に売却していること

節税効果の例 取得費に加算できる相続税額が100万円の場合: - 長期譲渡所得税率20.315%適用時 - 節税効果:約20万円

手続き方法 不動産を売却した翌年の確定申告時に、相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書等を提出。

2. 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(空き家特例)

制度の仕組み 相続した空き家を売却して得た譲渡所得から、最大3,000万円まで控除される特例です。譲渡所得が3,000万円以内であれば譲渡所得税がかからない可能性があり、大きな節税効果が期待できます。

主な適用要件 - 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された建物 - 区分所有登記(マンション等)ではないこと - 相続直前まで被相続人が実際に住んでいた物件 - 相続してから売却まで、自分で住んだり人に賃貸したりしていないこと - 土地と建物をセットで相続・売却すること - 相続から3年以内に売却すること - 配偶者や直系親族ではない第三者に売却すること - 売却金額が1億円以下であること - 売却時に耐震基準を満たしているか、建物を取り壊して売却すること

節税効果の例 譲渡所得2,000万円の場合: - 特例なし:約406万円の税金 - 特例適用:0円(全額控除)

注意点 - 旧耐震基準の建物が対象のため、耐震改修や解体に100万円単位の費用がかかる可能性 - 節税金額と費用を比較検討する必要あり - 譲渡所得税が0円となる場合でも確定申告が必要

主な提出書類 - 譲渡所得の内訳書 - 登記事項証明書 - 被相続人居住用家屋等確認書(市町村から取得) - 売買契約書の写し - 耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書

最適な売却タイミングの判断ポイント

特例選択の判断基準

取得費加算の特例が有利なケース - 相続税額が高額な場合 - 購入時の取得費が不明または少額な場合 - 空き家特例の要件を満たさない場合

空き家特例が有利なケース - 譲渡所得が3,000万円以下の場合 - 旧耐震基準の建物で要件を満たす場合 - 耐震改修や解体費用が節税額を下回る場合

売却タイミングの重要ポイント

1. 特例の適用期限 - 取得費加算特例:相続開始から3年10か月以内 - 空き家特例:相続開始から3年以内
2. 固定資産税の課税タイミング - 毎年1月1日時点の状況で固定資産税が決定 - 更地化する場合は1月2日以降に解体することで、その年の税額を抑制
3. 相続登記の完了 2024年4月1日から相続登記が義務化されており、売却前に名義変更手続きを完了させる必要があります。手続きには時間がかかる場合があるため、早めの対応が重要です。

売却前の重要な確認事項

建物の状態確認 - 建物、設備、地盤の状態を必ず確認 - 瑕疵が見つかった場合は不動産会社や買い手と共有 - 耐震性が低い場合は更地売却も検討

信頼できる不動産会社の選び方 - 店舗の評判(口コミ) - 宅地建物取引業免許の更新回数 - レスポンスの早さ - 空き家売却の実績

専門家との連携の重要性

相続した土地や空き家の適切な売却時期や活用方法はケースバイケース であるため、以下の専門家への相談が重要です:

税理士:特例適用の可否判断、節税シミュレーション、確定申告のサポート 司法書士:相続登記手続き、権利関係の整理 不動産会社:市場価格の査定、売却方法の提案、買い手の紹介

株式会社NR企画では、市川市を中心とした空き家売却において、提携税理士と共に相続税の試算から売却までトータルでサポート いたします。

まとめ

活用予定のない相続不動産は、放置することによる価値低下や経済的負担(固定資産税、維持費)を避けるためにも、できるだけ早期に売却を検討すること が推奨されます。

重要なポイント

1. 特例の選択と併用不可 売却時に利用できる「相続税の取得費加算の特例」と「空き家特例」は、譲渡所得税の大きな節税につながる可能性がありますが、併用できないため、どちらが有利かを事前にシミュレーションすること が重要です。
2. 適切な売却タイミング これらの特例には相続開始から3年以内(取得費加算特例は3年10か月以内)という適用期間が設けられており、適切な売却タイミングを逃さないことが節税の鍵となります。
3. 固定資産税の課税タイミング 更地化を検討する場合は、固定資産税の課税時期(1月1日)も考慮すべきです。1月2日以降に解体することで、その年の税負担を軽減できます。
4. 専門家との連携 相続登記の義務化や不動産売却に伴う複雑な手続き、税務上の判断をスムーズに進めるためには、税理士、司法書士、不動産会社といった専門家との連携が不可欠です。

株式会社NR企画では、市川市の地域特性を熟知した専門スタッフが、お客様の空き家問題解決を全面的にサポートいたします。一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。適切なタイミングでの売却により、税負担を最小限に抑えながら、空き家問題を解決できます。


本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務アドバイスを意図したものではありません。具体的な税務判断については、必ず税理士等の専門家にご相談ください。

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監修者情報

株式会社 NR企画
代表 北川圭一

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