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親の家を相続したけどどうすればいい?不動産の対処法を解説

親の家を相続したけどどうすればいい?不動産の対処法を解説

親から実家などの不動産を相続することは、多くの方にとって人生で初めての経験です。特に市川市を含む首都圏では不動産価値も高く、どのように対処すべきか悩むことが多いでしょう。不動産は現金とは異なり簡単に分割できないため、相続トラブルの原因になりやすい特徴があります。また、相続手続きや税金、相続後の維持管理など、考慮すべき点は多岐にわたります。

私たち株式会社NR企画は、市川市を中心に不動産売却・仲介・買取りのサポートを行っており、相続不動産に関するご相談も数多くいただいています。この記事では、親の家を相続したときに考えられる選択肢、必要な手続きの流れと期限、かかる税金や節税方法、そして起こりうるトラブルとその対策について解説し、皆様のスムーズな相続の実現をサポートします。

1. 親の家を相続したときの6つの選択肢

親の家を相続した場合、主な対処法として以下の6つの選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身の状況に合った選択をすることが大切です。

① 実家に住む

自身や家族が住む場所として利用する方法です。住み慣れた実家で生活を続けられるメリットがあります。ただし、実家が遠方にある場合や、すでに自分の住居がある場合は現実的ではないこともあります。

② 賃貸として貸し出す

実家を賃貸物件として活用し、家賃収入を得る方法です。不動産を手放さずに収入を得られるメリットがありますが、賃貸経営には入居者募集や建物メンテナンス、家賃滞納リスクなど様々な管理業務が発生します。特に市川市のような人気エリアでは需要も高く、適切な管理会社と提携することで安定した賃貸経営が可能です。

③ 更地にして土地活用する

建物を解体し、駐車場やアパートなどを建設して土地活用する方法です。土地の立地によっては高い収益が期待できますが、初期投資が必要になります。また、建物を解体すると固定資産税の軽減措置を受けられなくなる可能性があるため注意が必要です。

売却する(換価分割)

不動産を売却して現金化し、相続人で分割する方法です。最も公平な遺産分割方法の一つとなる可能性があります。市川市は東京へのアクセスも良く、不動産需要が高いエリアですので、適正価格での売却が期待できます。ただし、思い出の詰まった家を失うという心理的なデメリットや、譲渡所得税が課税される可能性があります。

限定承認する

相続したプラスの財産の範囲内で、被相続人の借金などのマイナスの財産を引き継ぐ方法です。相続人が複数いる場合は全員で行う必要があり、手続き期限は相続開始を知った日から3ヶ月以内です。被相続人に多額の債務がある可能性がある場合に検討する価値があります。

相続放棄する

不動産を含む全ての遺産(プラス・マイナス両方)の相続権を放棄する方法です。解体費用や維持費用が出せない場合などに選択肢となります。限定承認と同様に、手続き期限は相続開始を知った日から3ヶ月以内です。一度相続放棄すると撤回できないため、慎重な判断が必要です。

🔑ポイント:選択肢を決める際は、自分のライフプランや家族の状況、不動産の状態や立地条件、資金面など、多角的に検討することが重要です。特に市川市のような首都圏近郊の不動産は資産価値も高いため、専門家のアドバイスを受けながら慎重に判断しましょう。

 

2. 実家を相続して手続き完了までの基本的な流れと期限

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相続手続きには様々なステップと期限があります。期限を過ぎると不利益を被ることもあるため、しっかりと把握しておきましょう。

遺言書の有無の確認

まず遺言書がないか確認します。自筆証書遺言が見つかった場合は家庭裁判所での検認が必要です。遺言書がある場合、原則それに従いますが、他の相続人には遺留分が認められる場合があります。

遺産や債務の確認

預貯金、不動産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含め、全ての遺産を調査・把握します。不動産については、登記簿謄本の取得や固定資産税評価証明書の取得などが必要です。

相続放棄・限定承認の期限(3ヶ月以内)

遺産や債務を確認し、相続放棄または限定承認を検討する場合は、相続開始を知った日から3ヶ月以内に手続きを行う必要があります。この期限を過ぎると原則として全ての遺産を相続したものとみなされるため、注意が必要です。

準確定申告(4ヶ月以内)

被相続人が亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得について、相続人が代わりに確定申告を行う必要がある場合があります(アパート経営や個人事業など)。期限は死亡日から4ヶ月以内です。

不動産の名義変更(相続登記)

相続した不動産の名義を被相続人から相続人へ変更する手続きです。2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されました。不動産を相続したことを知った日、または遺産分割協議が成立した日から3年以内に申請する必要があります。正当な理由なく申請しない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

遺産分割協議がまとまらない場合は、「相続人申告登記」という制度を利用することで申請義務を履行できる場合があります。

相続税の申告と納付(10ヶ月以内)

相続財産の合計額が基礎控除額(3,000万円+法定相続人の人数×600万円)を超える場合、相続税が発生し、申告と納付が必要となります。期限は相続開始を知った日から10ヶ月以内です。申告・納付を遅延または怠ると、無申告加算税や延滞税が課せられる可能性があります。

相続手続きの期限一覧表

手続き

期限

注意点

相続放棄・限定承認

相続開始を知った日から3ヶ月以内

家庭裁判所での手続きが必要

準確定申告

死亡日から4ヶ月以内

被相続人に事業所得などがある場合

相続登記

相続を知った日または遺産分割成立日から3年以内

2024年4月から義務化、未登記は過料の可能性

相続税の申告・納付

相続開始を知った日から10ヶ月以内

基礎控除超過時のみ必要

🔑ポイント:相続手続きには複数の期限があり、それぞれ異なる時期が設定されています。特に相続放棄の3ヶ月という期限は短いため、被相続人に債務がある可能性がある場合は速やかに調査を開始しましょう。また、相続登記が義務化されたことで、多くの方が期限内に登記申請をする必要があります。市川市のような不動産価値の高いエリアでは相続税が発生する可能性も高いため、期限管理に注意が必要です。(参照:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」

 

3. 実家を相続する場合にかかる税金

不動産相続ではいくつかの税金がかかります。事前に知識を持っておくことで、計画的な対応が可能になります。

相続時・登記時にかかる税金

相続税

遺産総額が基礎控除額(3,000万円+法定相続人の人数×600万円)を超える場合に課税されます。税率は遺産額に応じて10%から55%まで変動します。宅地は路線価等、建物は固定資産税評価額を基に評価されます。

例えば、法定相続人が配偶者と子供2人の場合、基礎控除額は3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。市川市のような首都圏では不動産評価額が高く、基礎控除額を超えるケースも少なくありません。

登録免許税

相続登記にかかる税金です。不動産の固定資産税評価額×0.4%が課税されます。

相続後の不動産にかかる税金
売却した場合

譲渡所得税:
不動産を売却して得た利益(譲渡所得)にかかる所得税と住民税です。売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いて計算されます。相続税が課税された場合、一定の要件を満たせば相続税額の一部を取得費に加算できる特例があります(相続財産を譲渡した場合の取得費の特例)。

印紙税:
売買契約書に貼付する税金です。契約金額に応じて変動します。

復興特別所得税:
所得税額に対して2.1%課税されます(令和19年まで)。

保持した場合

固定資産税:
不動産を所有している場合に毎年かかる地方税です。土地・建物の評価額×1.4%(標準税率)が課税されます。市川市では、小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は評価額の1/6、一般住宅用地(200㎡超の部分)は評価額の1/3に軽減される措置があります。

都市計画税:
市街化区域内の不動産にかかる地方税です。土地・建物の評価額×0.3%(標準税率)が課税されます。

🔑ポイント:相続税の計算は複雑で、特に市川市のような首都圏では不動産評価額も高いため、試算段階から税理士などの専門家に相談することをお勧めします。相続後の不動産活用方法によって発生する税金も異なるため、長期的な視点で税負担を考慮した計画を立てることが重要です。

 

4. 相続不動産にかかる税金の節税方法

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相続税や譲渡所得税を軽減するための特例がいくつか存在します。条件を満たすことで大幅な節税効果が得られる場合もあります。

小規模宅地等の特例

一定の要件を満たす宅地について、評価額を最大80%減額できる特例です。

  • 被相続人の自宅の敷地(居住用宅地):330㎡まで評価額の80%減
  • 被相続人の事業用の敷地(事業用宅地):400㎡まで評価額の80%減
  •  被相続人の貸付用の敷地(貸付事業用宅地):200㎡まで評価額の50%減

ただし、適用には「被相続人の居住の用に供していた」「相続人が居住している」などの条件があり、申告期限までに売却するとこの特例は使えなくなる点に注意が必要です。

配偶者の税額軽減

配偶者が相続した財産について、法定相続分相当額または1億6,000万円までの多い方の金額まで相続税がかからない特例です。配偶者が実家を相続する場合に特に有効な節税策となります。

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

相続税の申告期限から3年10ヶ月以内に相続した不動産を売却した場合、支払った相続税の一部を取得費に加算でき、譲渡所得税を軽減できる特例です。相続税と譲渡所得税の二重課税を調整する目的があります。

相続した空き家を売却した場合の3,000万円特別控除

一定の条件(昭和56年5月31日以前に建築された家屋で相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却など)を満たす相続した空き家を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円控除できる特例です。市川市など築年数の経った住宅が多いエリアでは積極的に検討すべき特例といえます。(参照:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

🔑ポイント:節税特例は条件や期限が細かく設定されており、適用要件を満たすには計画的な対応が必要です。特に小規模宅地等の特例は大きな節税効果が見込める一方で、要件も複雑です。また、相続した空き家の3,000万円特別控除は期限が延長されていますが、将来的に制度が変更される可能性もあるため、適用を検討する場合は早めに専門家に相談しましょう。

 

5. 実家を相続するときの注意点・トラブル

不動産相続では様々なトラブルが起こりやすいものです。事前の対策や解決法を知っておくことが重要です。

空き家を放置するリスク

相続した実家を空き家のまま放置することには多くのリスクが伴います。

  • 建物の劣化が進み、資産価値が下がる
  • 不審者の侵入や火災などの危険性が高まる
  • 雑草の繁茂や害虫発生など近隣への迷惑につながる
  • 特定空き家に認定されると固定資産税が最大6になるリスクがある
  • 倒壊などにより第三者に被害を与えた場合、所有者に損害賠償義務が発生する

市川市でも空き家対策が進められており、空き家の適切な管理や活用が求められています。定期的な見回りや管理サービスの利用、早期の売却や活用の検討が重要です。

共有相続のデメリットとトラブルリスク

複数の相続人で不動産を共有名義にすると、様々な問題が生じる可能性があります。

  • 不動産の売却や活用には共有名義人全員の同意が必要で意見がまとまりにくい
  • 共有名義人が死亡すると相続人が増え、さらに複雑になる
  • 固定資産税や維持費の負担方法でもめることがある

共有分割は一時的な対処法と考え、なるべく早めに単独名義にするか売却を検討すべきです。

不動産を誰が取得するかで争う

不動産が遺産の大部分を占める場合など、誰が取得するかで意見が対立しやすくなります。遺言書がない場合に特に起こりやすいトラブルです。話し合いで解決できない場合は、「換価分割」(売却して現金で分ける)や「代償分割」(不動産を取得する人が他の相続人に金銭で支払う)などの方法を検討します。

誰も相続したがらない不動産がある

田舎の古家や活用・売却が難しい土地など、所有しているだけで固定資産税や維持費がかかるため、相続人同士で押し付け合い遺産分割が進まないことがあります。

解決策としては以下が考えられます:
- 生前に処分する
- 相続放棄を検討する
- 相続土地国庫帰属制度(一定の条件と費用がかかる)を利用する

相続税が支払えない

遺産が現金ではなく不動産ばかりの場合、相続税の納付資金が不足することがあります。特に市川市のような不動産価値の高いエリアでは、この問題が顕著になる可能性があります。

解決策としては以下が考えられます:
- 生命保険の活用などで事前に納税資金を準備する
- 延納・物納制度の利用(条件あり)
- 不動産の一部売却 - 金融機関からの借入

居住権を巡ってもめる

亡くなった人名義の家に相続人が同居していた場合など、「住んでいる人」と「所有権を持つ人」が異なりトラブルになることがあります。配偶者には配偶者居住権が認められているため、この制度を活用することも検討できます。

遺言書で取得者を指定する、使用貸借契約を結ぶなどが対策となります。

不動産の名義変更がされていなかった

相続開始時に、不動産の名義がさらに前の世代(祖父など)のままになっていることがあります。その場合、順を追って名義変更する必要があり、前の相続の相続人との連絡や調整が困難になる場合があります。

🔑ポイント:不動産相続のトラブルは予防が最も重要です。特に空き家問題は市川市を含む首都圏でも深刻化しており、放置することでリスクが高まります。また、共有名義は将来的なトラブルの原因となるため、可能な限り避けるべきです。生前から不動産の整理や遺言書の作成といった準備をしておくことで、相続時のトラブルを大きく減らすことができます。

 

6. トラブル発生時や手続きに迷った場合の専門家への相談

不動産相続に関する問題は複雑であり、他の相続人との間で意見の対立が生じた場合や、手続きに不安がある場合は専門家への相談を検討すべきです。

弁護士へ相談するケース

相続人間で紛争が発生した場合(遺産分割の争い、遺留分侵害、遺言の有効性など)の交渉代理、調停、訴訟などを依頼できます。依頼人の利益を最大化できるようサポートしてくれます。他の相続人と直接話したくない場合にも有効です。ただし、相続税の相談・申告は基本的に行えません。

司法書士へ相談するケース

不動産の相続登記の専門家です。相続人調査、財産調査、遺産分割協議書や相続放棄に関する書類作成なども依頼できます。特に2024年4月から相続登記が義務化されたため、司法書士への相談需要が高まっています。

税理士へ相談するケース

相続税に関する専門家です。相続税の計算、申告、税金対策(節税アドバイス)、税務調査対応などを依頼できます。相続税が発生するか不明な場合や節税したい場合に相談すべきです。市川市のような不動産価値の高いエリアでは、相続税の専門家のアドバイスが特に重要となります。

不動産相続では複数の専門家の知識が必要となるケースが多いため、必要に応じて各専門家へ依頼するか、他士業と連携している事務所を選ぶと手続きがスムーズに進む可能性があります。

多くの専門家事務所では初回無料相談を実施しているため、まずは気軽に相談してみるのが良いでしょう。

🔑ポイント:専門家に相談する際は、自分がどのような悩みや問題を抱えているかを整理してから臨むと効率的です。また、複数の専門家の意見を聞くことで、より適切な解決策を見つけられることもあります。費用対効果を考えると、相続税が発生する可能性がある場合や相続人間で意見が対立している場合は、早めに専門家に相談することで結果的に費用を抑えられることも多いです。

 

7. まとめ

親の家を相続することは、多くの方にとって人生で初めての経験であり、様々な選択肢と手続きがあります。この記事でご紹介したポイントを整理してみましょう。

  • 親の家を相続した際には、「住む」「貸す」「活用」「売却」「限定承認」「相続放棄」といった様々な選択肢があります。自分の状況に合った選択をすることが大切です。
  • 相続手続きには、遺言確認、遺産調査、相続放棄(3ヶ月)、準確定申告(4ヶ月)、相続登記(3年)、相続税申告(10ヶ月)といった期限があります。特に相続登記は2024年4月から義務化され、3年以内の申請が必要です。
  • 相続税や登録免許税、相続後の固定資産税や譲渡所得税など、様々な税金がかかる可能性があります。小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減、相続した空き家の3,000万円特別控除など、節税のための特例も用意されています。
  • 空き家放置のリスクや共有相続の難しさ、相続人の対立など、不動産特有のトラブルも起こりうます。生前から不動産の整理や遺言書の作成といった対策を講じることが重要です。
  • 手続きに不安がある場合や相続人との間で意見が対立した場合は、弁護士、司法書士、税理士といった専門家への相談を検討すべきです。

市川市を拠点とする株式会社NR企画では、相続不動産の売却や活用についてのご相談を承っております。特に市川市周辺の不動産に精通しており、相続不動産の適正価格での売却や賃貸活用のアドバイスなど、お客様のニーズに合わせたサポートを提供しています。

相続不動産でお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。経験豊富なスタッフが丁寧にご対応いたします。

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監修者情報

株式会社 NR企画
代表 北川圭一

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