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不動産コラム
2025/06/02
空き家を売却するなら今!損をしないための5つの準備
近年、「2025年問題」が不動産市場で話題となっています。少子高齢化の加速や団塊世代の高齢化に伴う空き家の増加などが市場に大きな影響を与えると予測されているのです。市川市を含む首都圏でも空き家は年々増加しており、所有者の多くが「どうすれば良いのか」と悩んでいます。
空き家を放置し続けることには、管理の手間や費用がかかるだけでなく、資産価値の低下、近隣住民とのトラブル発生リスク、さらには固定資産税の増加(特定空き家・管理不全空き家に指定された場合、固定資産税が6倍になる可能性がある)や強制解体・費用請求のリスクといった大きなデメリットがあります。
私たち株式会社NR企画は、市川市を中心に不動産売却・仲介・買取りのサポートを行っており、「将来的に使う予定のない空き家であれば、所有し続けるよりも売却する方が、結果として得になりやすい」と考えています。損をしないためにも、早めに売却を検討することが重要です。
この記事では、空き家を売却するのに「今」が良い理由と、損をしないために準備しておくべき5つのポイント、そして空き家売却を有利に進めるためのヒントを解説します。
目次
1. 空き家を売却するなら「今」が良い理由
「2025年には不動産価格が暴落するのでは?」といった懸念の声も市場では聞かれますが、実際には急激な大暴落が発生する可能性は低いと考えられています。市場の変化は段階的に進行すると予測されているのです。
少子高齢化や空き家の増加はすでに顕在化しており、2025年を境に急激に悪化するわけではありません。団塊世代の高齢化に伴う不動産売却の増加も徐々に影響が現れると考えられます。
しかし、いくつかの理由から「今」の売却がメリットをもたらす可能性があります:
現在の不動産相場は高水準
現在の不動産相場は過去最高水準に達しています(特に都市部のマンション価格)。これは低金利政策による住宅ローンの借りやすさ、都市部への人口集中、海外投資家の増加などが要因となっています。
市川市も東京へのアクセスの良さから不動産需要が堅調で、適切な価格設定と販売戦略があれば、好条件での売却が期待できる市場環境にあります。
今後予想されるリスク要因
ただし、今後は団塊世代の高齢化に伴う売却物件増加や、住宅ローン金利の上昇リスクが市場に影響を与える可能性があります。金利上昇は買い手の購買意欲を低下させ、価格下落のリスクにつながります。
有利な税制特例の活用
税制面では、「居住用財産の3,000万円特別控除」や「10年超所有の軽減税率の適用」、「相続空き家の3,000万円特別控除(期限あり)」などの特例を活用できる可能性があります。これらの特例は法改正で見直される可能性もあるため、適用期間内に売却することで節税メリットを受けられます。
現在の高水準な相場と税制特例の活用期間を考慮すると、2025年前半の売却が有利と言えるかもしれません。
🔑ポイント:単に「2025年問題」を恐れて慌てて売却する必要はありませんが、不動産市場の環境が良好で税制優遇も活用できる「今」のタイミングでの売却は、資産価値の最大化という観点から考えると合理的な選択かもしれません。将来的な価格下落リスクや税制改正による特例見直しの可能性を考慮し、計画的に売却準備を進めることが重要です。
2. 損をしないための5つの準備
空き家を売却する際に、損をしないためには以下の5つの準備が重要です。
① 所有者を確認し、相続登記を完了させる
空き家を売却するには、登記簿上の所有者が売主本人であることが必須です。特に相続した空き家の場合、所有者が亡くなった親ではなく、祖父などそれ以前の代の名義のままになっているケースがあります。
所有者が祖父や曽祖父になると相続関係者が数十人と大勢になり、相続が複雑になることがあります。相続に関わるすべての人の了承がなければ売却はできません。
相続登記の義務化に注意
2024年4月1日から相続登記が義務化されました。相続によって不動産を取得した相続人は、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。遺産分割が成立した場合も、成立日から3年以内に相続登記が必要です。正当な理由なく登記を怠ると、10万円以下の過料の適用対象となります。(参照:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」)
相続登記が義務化された背景には、所有者不明土地の増加があります。その約3分の2は相続登記の未了が原因と言われています。
遺産分割協議に時間がかかるなど、すぐに相続登記を完了できない場合は、「相続人申告登記」を不動産取得を知った日から3年以内に行う必要があります。これにより一時的に義務を果たしたとみなされますが、遺産分割成立後は改めて3年以内に相続登記が必要となります。
空き家の所有者は、権利証、登記識別情報、登記事項証明書などで確認できます。相続登記手続きは自分でも可能ですが複雑なため、司法書士に依頼するのが一般的です。
🔑ポイント:相続登記の未完了は売却の大きな障害となるだけでなく、義務化に伴い罰則の対象にもなります。売却を検討する際は、まず所有権がきちんと自分(売主)にあるかを確認し、必要に応じて相続登記を完了させることが最優先です。市川市でも相続登記の専門家や司法書士事務所が多数ありますので、専門家に相談することをお勧めします。
② 物件の状態を正確に把握し、契約不適合責任に備える
不動産売却時には、特に隠れた瑕疵(かし)に注意が必要です。隠れた瑕疵とは、買主が発見不可能な欠陥のことで、土台のシロアリ被害や配管の水漏れなどがあります。
売主は、故意や過失がなくても、民法上の契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)を負うことになります。契約不適合責任では「契約書通りの物件かどうか」が問題となり、売主が欠陥を知らなかったとしても責任を問われる可能性があります。
契約不適合責任の範囲
契約不適合責任を負う範囲は、2020年4月施行の民法改正により拡大され、買主は修補、代替物の引渡し、不足分の引渡し、代金減額、契約解除、損害賠償請求が可能となりました。
空き家のように長期間使われていない物件では、思わぬ不具合が潜んでいることがあります。売却後に買主から賠償請求されるリスクを避けるため、売主は物件の状況を正確に不動産会社や買い手側に伝える必要があります。
ホームインスペクションの重要性
トラブルを防ぐための事前対策として、ホームインスペクション(住宅診断)を実施することが必須です。ホームインスペクションでは、プロが物件の不備を調べ、隠れた瑕疵を事前に把握できます。空き家や劣化が激しい建物の場合は、建築に関する知識がある国家資格を持つ建築士によるホームインスペクションが推奨されます。
ホームインスペクションで判明した懸念点はすべて買主に正直に伝え、納得を得た上で契約を結ぶのが望ましいです。これらの事項は重要事項説明書等に記載することで、契約不適合責任が発生するリスクを抑えられます。
万が一契約不適合責任を問われた際に損害金を保証してくれる既存住宅売買の瑕疵保険への加入も推奨されています。
🔑ポイント:空き家は経年劣化によるトラブルリスクが高いため、事前のホームインスペクションは特に重要です。物件の状態を把握し、買主に正確に伝えることで、売却後のトラブルを防止できます。株式会社NR企画では、市川市内の空き家専門のホームインスペクターと連携し、物件状態の正確な把握と適切な情報開示をサポートしています。
③ 売却にかかる費用と税金を把握する
空き家の売却でも、通常の不動産売却と同様に様々な費用や税金がかかります。あらかじめ把握しておくことで、資金計画が立てやすくなります。
主な費用項目
仲介手数料:
売却が成功した際に不動産会社に支払う手数料です。法律で上限額が定められており、「売買代金×3%+6万円+消費税」で算出される額を超えてはならないとされています。なお、2024年7月1日以降は、「低廉な空家等」(800万円以下の宅地建物)の売買において、売買価格にかかわらず上限額が30万円(税別)となりました。
印紙税:
不動産売買契約書に課される税金です。契約金額に応じて税額が決まり、契約書に収入印紙を貼って納税します。2027年3月31日までは軽減税率が適用されます。買主の契約書のコピーでよければ、売主分の負担は通常ありません。
登記手続き費用:
不動産の登記変更にかかる費用です。相続登記や住所変更登記などが必要な場合にかかる登録免許税と、司法書士への報酬が含まれます。自分で登記手続きも可能ですが、知識が必要で複雑なため、司法書士に依頼するのが現実的です。一般的な目安は5万円~10万円程度です。
売却時の税金と特例
譲渡所得税:
不動産売却で利益(譲渡所得)が出た場合に課される税金です。利益が出なければ課税されません。税率は所有期間によって異なり、5年以下なら利益の約4割、5年超なら約2割となります。
空き家特例(被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例):
一定の条件を満たす相続した空き家を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円まで控除できる特例です。この特例の適用には「相続から3年以内の12月31日まで+申告期限後3年」といった期限などの細かい条件があります。(参照:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」)適用漏れを防ぐため、早めに税理士や不動産会社に相談することが重要です。
その他、かかる場合がある費用として、残置物・不用品処分費用、建物の解体費用、土地測量・境界確定費用、引っ越し代、修繕・清掃費用などがあります。解体する場合は固定資産税の軽減措置(住宅用地特例)が外れ、税負担が増える可能性があるため注意が必要です。
不動産会社が直接買い取る買取の場合は仲介手数料がかからないですが、買取価格は相場価格の7割程度になるのが一般的です。
費用項目 |
概要 |
目安金額 |
---|---|---|
仲介手数料 |
不動産会社への報酬 |
売買価格×3%+6万円+消費税 |
印紙税 |
契約書に貼付する税金 |
売買価格に応じて変動(1〜10万円程度) |
登記手続き費用 |
登録免許税+司法書士報酬 |
5〜10万円程度 |
譲渡所得税 |
売却益に対する税金 |
売却益の20〜39.63%(保有期間による) |
残置物処分費 |
家財道具などの処分費用 |
10〜30万円程度 |
解体費用(必要な場合) |
建物解体費用 |
100〜300万円程度(建物規模による) |
🔑ポイント:空き家売却では想定外の費用が発生することも少なくありません。特に解体が必要な場合は高額になるため、事前に全体の費用を見積もっておくことが重要です。また、相続した空き家の特例など、適用条件が複雑な節税措置は、市川市周辺の不動産・税務に詳しい専門家に早めに相談することで、確実に適用を受けられるようにしましょう。
④ 信頼できる不動産会社を慎重に選ぶ
不動産売却において、どの不動産会社を選ぶかは成功を左右する重要なポイントです。「とりあえず近所の不動産会社に相談」といった安易な選び方は失敗につながりやすいことを認識しましょう。
空き家や相続物件の売却に不慣れな業者に依頼すると、適切なアドバイスが得られず、相場とかけ離れた価格設定をされたり、トラブル回避の助言が不十分だったり、節税の知識が浅く損をしたりするリスクがあります。
空き家売却に強い不動産会社の選び方
専門性の確認:
空き家や相続物件の取り扱い実績が豊富で、特有の税金や登記などの知識を持っているかを確認しましょう。過去の成功事例や、空き家特有の課題への対応策を具体的に説明できる会社が望ましいです。
地域への精通度:
物件があるエリアに強みを持っているかも重要です。地域情報に詳しい業者であれば、地元情報を活かした買い手とのマッチングが期待できます。市川市内の空き家を売却する場合は、市川市の不動産市場に精通した地元の不動産会社がおすすめです。
対応の質:
査定時の説明が具体的で、売却戦略や注意点をきちんと説明してくれるか。担当者の対応が早く丁寧で、売却成功まで親身に伴走してくれるかも安心感につながります。
媒介契約の種類:
媒介契約の種類(専属専任、専任、一般)についても理解し、自分の希望に合った契約形態で、囲い込みなどの不正行為をしない不動産会社を選びましょう。複数の不動産会社に査定依頼をし、比較検討することが推奨されています。
🔑ポイント:市川市の不動産市場は地域特性が強く、地元密着型の不動産会社は地域の買い手ニーズを熟知しています。空き家売却では、単に価格だけでなく、物件の魅力を最大限に引き出し、適切な買い手とマッチングできる不動産会社を選ぶことが成功への鍵です。株式会社NR企画は市川市を中心に空き家売却の実績が豊富で、地域特性を活かした戦略的な売却をサポートしています。
⑤ 媒介契約・売買契約の内容を細部まで確認する
不動産売買の契約は複雑であり、理解不足がトラブルにつながる可能性があります。不利な条件で進められたり、不当な請求をされたりするケースもあるため、契約内容の確認は非常に重要です。
媒介契約の種類と特徴
不動産売却を依頼する際に結ぶ媒介契約には、専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3種類があり、それぞれ拘束力や売主の自由度が異なります。どの契約にするかは売主に委ねられているため、特徴を理解して選択する必要があります。
- 専属専任媒介契約:最も拘束力が強く、契約した不動産会社以外に依頼できないだけでなく、自分で買主を見つけた場合も仲介手数料が発生します。ただし、最も強力に販売活動を行ってもらえます。
- 専任媒介契約:契約した不動産会社以外に依頼できませんが、自分で買主を見つけた場合は仲介手数料が発生しません。
- 一般媒介契約:複数の不動産会社に同時に依頼でき、自分で買主を見つけた場合も仲介手数料は発生しません。拘束力は最も弱いですが、複数社の販売力を利用できます。
よくあるトラブル事例と対策
よくあるトラブル事例として、仲介手数料に関するもの(上限額以上を請求される)、媒介契約解除時の実費請求、自己発見取引時の仲介手数料請求(専属専任媒介契約以外では通常不要ですが、専任の場合は実費請求の可能性あり)、契約解除に関するもの(契約解除条件や金銭的取り扱いの不明確さ)などがあります。
トラブルを予防するためには、契約書の内容を十分に確認することが最も重要です。特に仲介手数料の計算方法や上限、解約条件、自己発見取引に関する特約、物件情報の取り扱いなどについて、法に準じているか、不足がないかを確認しましょう。
売買契約書についても、契約解除の取り扱い(期限、解除する場合の取り扱い、解約手付)や、ローンが通らなかった場合の特約(ローン特例)など、認識の相違でトラブルになりやすい事項や、売主の金銭的リスクが伴う事項を細かく確認することが大切です。曖昧な表現がないか、不動産会社に詳細な説明を求め、書面で確認・合意することが望ましいでしょう。専門的な知識が必要な場合は、専門家(弁護士、司法書士など)への相談も検討してください。
🔑ポイント:契約書は「読んだ」だけでは不十分で、「理解する」ことが重要です。不明点は必ず質問し、納得してから署名・捺印しましょう。特に空き家売却では予期せぬ問題が起きやすいため、契約解除条件や瑕疵担保責任の範囲などをしっかり確認することが、後々のトラブル防止に役立ちます。
3. 空き家売却を有利に進めるための追加のポイント
基本的な5つの準備に加えて、空き家売却を有利に進めるためのポイントをいくつか紹介します。
リフォームは基本的には不要、他の方法で魅力を高める
築年数が古く傷んでいる空き家を売却する際にリフォームを考える人もいますが、基本的にリフォームしてから売り出すことはあまり推奨されません。リフォーム費用を売却額で回収できるとは限らない、買主の好みに合わない可能性がある、リノベーションを前提とする買主にとっては対象外になるといったデメリットが大きいためです。
リフォーム以外の効果的な方法として、ハウスクリーニングがあります。専門業者による清掃で、内覧時の印象を大幅に向上させることができます。特に水回りの清掃は重要です。
その他、ホームインスペクションの実施(物件の状態を正確に伝えることができる)や、リフォーム業者と連携してリフォームプランを提示する(買主が購入後のイメージを持ちやすく、コストや時間を抑えられる)といった方法があります。
売却が難しい場合は買取も視野に入れる
空き家が古すぎたり、大きな欠陥や法的・物理的な問題を抱えていたりして、なかなか買い手が見つからない場合、不動産会社が直接買い取る買取を検討することも一つの選択肢です。
買取であれば、問題のある物件でも対応可能な場合があり、不動産会社が直接購入するため、短期間で、かつ手間をかけずに売却できるメリットがあります。また、周囲に知られずに売却したい場合も、買取なら非公開・非広告での売却が可能です。
ただし、買取価格は仲介による売却相場価格のおおよそ7割程度になることに注意が必要です。
自治体の空き家バンクも活用できる
市川市を含む自治体によっては、空き家を売りたい人と買いたい人をつなぐ「空き家バンク」を運営している場合があります。登録や手数料が安く済むメリットがあります。ただし、民間の不動産会社と比較してサポート体制や集客力が劣る場合もあるため、物件の場所や状態に応じて検討すると良いでしょう。
🔑ポイント:空き家売却では、物件そのものをリフォームするより、クリーニングや印象改善、正確な情報提供によって価値を高める方が効果的です。また、通常の仲介で売れない場合も、買取や空き家バンクなど複数の選択肢があることを知っておくと、状況に応じた適切な判断ができます。
4. まとめ:早めの準備で空き家売却を成功させよう
空き家を所有し続けることは、費用負担の増加、資産価値の低下、トラブルリスクの増大といった多くのデメリットを伴います。将来利用する予定がない空き家であれば、価値が下がる前に、そして税制優遇が活用できる可能性があるうちに、早めに売却を検討することが重要です。
空き家売却を成功させ、損をしないためには、本記事で解説した5つの準備(所有者確認・相続登記、物件状態の把握と契約不適合責任への備え、費用・税金の把握、信頼できる不動産会社選び、契約内容の確認)を丁寧に行うことが不可欠です。
特に2024年4月からの相続登記義務化には注意が必要であり、未登記による罰則や売却不可のリスクを避けるためにも、早めに手続きを進める必要があります。
売却をスムーズに進めるためには、空き家や相続物件の売却実績が豊富で、地域に強い不動産会社を選ぶことが非常に重要となります。私たち株式会社NR企画は、市川市の空き家売却に特化したサービスを提供しており、地域の特性を熟知したプロフェッショナルが、お客様の大切な資産の売却をサポートします。
空き家の売却に不安がある場合や、どのように進めれば良いか分からない場合は、専門家(不動産会社、弁護士、司法書士、税理士など)や専門サービスに相談することで、適切なサポートを受け、安心して売却を進めることができます。一度お気軽にご相談ください。