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長年放置された空き家でも売れる?
売却の工夫とリフォームのコツ

長年放置された空き家でも売れる?<br>売却の工夫とリフォームのコツ

「実家を相続したけど、何年も放置してしまっている」「こんなボロボロの空き家でも売れるのだろうか」このような不安を抱えている方は少なくありません。

結論から言えば、長年放置された空き家でも売却は可能です。市川市でも空き家の売却事例は数多くあり、適切な準備と工夫次第で、想像以上にスムーズな売却が実現できます。

総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によれば、空き家は900万戸、空き家率は13.8%(いずれも過去最多)となっています。2018年(849万戸、13.6%)から増加が続いており、相続をきっかけに空き家を所有するケースが増えている中、放置し続けることで資産価値の低下や税負担の増加、近隣トラブルといったリスクが高まっていきます。

この記事では、長年放置された空き家を売却するための具体的な方法から、少しの工夫で価値を高めるコツ、費用対効果を考えたリフォームのポイントまで、実践的な情報を解説していきます。株式会社NR企画は市川市で空き家売却の豊富な実績を持ち、お客様の状況に応じた最適な売却方法をご提案いたします。

1. 長年放置された空き家を売却する前に
知っておくべきこと

空き家を放置し続けることは、様々なリスクを伴います。 まずはそのリスクを正しく理解し、自分に合った売却方法を選択することが重要です。

空き家問題は単なる個人の資産管理の問題ではなく、地域社会全体に影響を及ぼす可能性があります。放置期間が長くなるほど問題は深刻化するため、早期の対策が求められます。

1-1. 放置するリスクを理解する

空き家を放置することで発生する主なリスクは以下の通りです。

資産価値の低下

放置期間が長いほど、建物の劣化が進み、資産価値は下落していきます。雨漏りや湿気による構造部分の腐食、シロアリ被害などが進行すると、建物としての価値がほぼゼロになることも珍しくありません。
特に木造住宅の場合、人が住まなくなると換気が不十分になり、カビや腐食が急速に進行します。数年放置するだけで、リフォーム費用が数百万円単位で増加するケースもあります。

固定資産税の負担増加

住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が小規模住宅用地で6分の1、一般住宅用地で3分の1に軽減されています。

しかし、市区町村長から特定空家等の勧告を受けた敷地は、住宅用地特例が適用除外となります(結果的に本来の課税標準に戻るため、負担が大幅に増加します)。

近隣住民とのトラブル

管理されていない空き家は、倒壊の危険、不法投棄の温床、害虫や野生動物の発生源となり、近隣住民に迷惑をかけます。場合によっては損害賠償を請求されるリスクもあります。

実際に、老朽化した空き家の外壁が剥がれ落ちて隣家の車を傷つけたり、敷地内で発生した害虫が近隣に広がったりするトラブルは全国で発生しています。

法的なリスク

「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、自治体は管理が不十分な空き家を「特定空家等」に指定できます。

指定後、自治体から改善の勧告→命令という手続が進み、命令に従わない場合は過料(非刑罰の行政上の金銭負担)が科される可能性があります。さらに、行政代執行により強制的に解体され、その費用を請求されることもあります。

【参考出典】 - 令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)|総務省統計局
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/g_kekka.pdf - 固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001712029.pdf - 空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html - 空家特措法に基づく過料事件について|室蘭市
https://www.city.muroran.lg.jp/life/?content=866

1-2. 売却方法の選択肢を知る

空き家の売却方法には主に3つの選択肢があります。それぞれの特徴を理解し、自分の状況に合った方法を選びましょう。

売却方法 メリット デメリット 向いているケース
仲介 市場価格に近い価格での売却が期待できる 売却に時間がかかる場合がある 時間に余裕があり、少しでも高く売りたい
買取 売却スピードが速い、確実に売却できる、内覧対応不要 仲介より売却価格が安くなる傾向 早く確実に売却したい、手間をかけたくない
空き家バンク 自治体の支援を受けられる場合がある 売却まで時間がかかる、利用条件がある 地域活性化に貢献したい

仲介での売却

不動産会社に買主を探してもらう方法です。市場価格に近い価格での売却が期待できる反面、築古物件は買い手が見つかりにくく、売却まで数ヶ月から1年以上かかることもあります。

この方法が向いているのは、時間的余裕があり、少しでも高値で売却したい方です。ただし、内覧対応や価格交渉などの手間がかかる点は覚悟が必要です。

買取での売却

不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。最大のメリットは売却までのスピードが速く、確実に売却できる点にあります。内覧対応や買主との交渉も不要なため、精神的な負担も軽減されます。

一般的に仲介価格の70〜80%程度の価格になることが多いですが、早期に現金化できる、近隣に知られずに売却できるといった利点があります。遠方に住んでいて何度も現地に足を運べない方や、相続税の納税期限が迫っている方に適しています。

空き家バンクの活用

自治体が運営する、空き家情報のマッチングサイトです。自治体によってはリフォーム補助金などの支援制度がある場合もあります。

ただし、利用には条件があることが多く、売却まで時間がかかる傾向があるため、補助的な手段として考えるのが現実的です。

✓ポイント: 空き家を放置することで生じるリスクは時間とともに増大します。資産価値の低下、税負担の増加、近隣トラブル、法的リスクなど多岐にわたるため、早期の売却判断が重要です。売却方法は状況に応じて選択し、複数の不動産会社に相談することで最適な方法が見えてきます。

2. 売却の工夫:少しのアイデアで価値を高める

少しの準備と工夫で、空き家の印象は大きく変わります。特に長年放置された物件では、第一印象を改善することが売却成功の鍵となります。

理由は、買主が物件を見たときの印象が購入意欲に直結するからです。同じ物件でも、整理整頓されているかどうかで受ける印象は大きく異なり、それが価格交渉にも影響します。

2-1. 売却前にできる準備

売却活動を始める前に、以下の準備を行うことで、買主への印象を向上させることができます。

遺品整理と家財処分

残置物を撤去し、売却物件をすっきりと見せることは非常に重要です。家具や家電、衣類などが残っている状態では、買主が室内の広さや状態を正確に把握できません。

遺品整理業者に依頼する場合、数万円から数十万円の費用がかかりますが、この投資は売却価格や売却期間に良い影響を与えることが多く、結果的に費用対効果が高いと言えます。

簡易清掃と換気

窓を開けて換気し、簡単な清掃を行うだけでも印象が大きく向上します。特に玄関、リビング、水回りは重点的に清掃しましょう。

長年締め切られていた空き家は、独特の臭いがこもっています。内覧の数日前から定期的に換気を行い、臭いを外に逃がすことで、買主に与える印象が改善されます。

相続登記の完了

相続した物件は、売却前に必ず相続登記を済ませておく必要があります。登記名義が故人のままでは売却できないため、早めに手続きを進めましょう。

2024年4月からは相続登記が義務化され、相続を知ってから3年以内に登記しないと10万円以下の過料が科される可能性があります。

【参考出典】 - 相続登記の申請の義務化|法務省
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00435.html

2-2. 買主のターゲットを広げる工夫

売却のアプローチ方法を工夫することで、より多くの買主候補にアピールできます。

DIY可能物件として売り出す

近年、「自分で自由にリフォームしたい」というニーズを持つ層が増えています。特に若い世代や個性的な住まいを求める人にとって、古い家をDIYで再生することは魅力的な選択肢です。

この層に向けて、「リフォーム自由」「DIY歓迎」といった訴求を行うことで、築古物件でも買い手が見つかる可能性が高まります。

リフォームプランの提示

不動産会社と連携し、リフォーム後のイメージを具体的に提示する方法も効果的です。簡単な図面や写真の加工により、「こんな風にリフォームできる」というビジョンを見せることで、買主の購入意欲を高めることができます。

リフォーム費用の概算見積もりも併せて提示すれば、買主は購入後の資金計画を立てやすくなります。

2-3. 不動産会社選びのポイント

売却の成否は、依頼する不動産会社によって大きく左右されます。

空き家の売却実績が豊富な会社を選ぶ

築古物件の扱いに慣れている会社は、適切な価格設定や効果的な販売戦略を持っています。過去の売却事例や実績を確認し、空き家売却のノウハウがあるかをチェックしましょう。

複数の会社に査定を依頼する

査定額だけでなく、担当者の提案力や熱意も比較することが重要です。最低でも3社程度に査定を依頼し、それぞれの販売戦略や担当者の対応を比較検討しましょう。

査定額が極端に高い会社には注意が必要です。契約を取るために高額査定を出し、その後値下げを提案してくるケースもあるためです。

✓ポイント: 売却前の準備として、遺品整理・清掃・相続登記は必須です。これらを怠ると買主の印象が悪くなり、売却価格や期間に悪影響を及ぼします。また、DIY可能物件としてのアピールやリフォームプランの提示など、買主のニーズに合わせた工夫が効果的です。不動産会社選びでは、空き家売却の実績と担当者の提案力を重視しましょう。

3. リフォームのコツ:費用対効果を最大化する

リフォームは必ずしも必要ではありませんが、適切に実施すれば売却価格や売却期間に良い影響を与えます。重要なのは、費用対効果を見極めることです。

リフォームには数十万円から数百万円の費用がかかりますが、その費用が売却価格に反映されるとは限りません。そのため、どこまでリフォームすべきかの判断が、空き家売却の成否を分けるポイントとなります。

3-1. リフォームの必要性と費用対効果を考える

リフォームの判断は、物件の状態と市場のニーズを踏まえて行う必要があります。

リフォームのメリット

リフォームを行うことで、買主に好印象を与え、高値での売却につながる可能性があります。特に水回りが新しいと、購入後すぐに住めるという安心感を与えられます。

また、リフォーム済み物件は、【フラット35】リノベや安心R住宅など制度・情報提供の枠組みに合致すると、金利引下げ等のメニューや情報の透明性で購入検討がしやすくなるという利点もあります。

リフォームのデメリット

多額の費用がかかる割に、売却価格に反映されないリスクがあります。100万円かけてリフォームしても、売却価格が50万円しか上がらなければ、結果的に損をすることになります。

また、リフォームの好みは人それぞれです。売主が良かれと思って行ったリフォームが、買主の好みに合わないこともあります。

費用対効果を意識する

全面リフォームが必要か、部分リフォームで十分かを慎重に検討しましょう。一般的に、以下の判断基準が目安となります。

  • 建物の状態が良く、部分的な修繕で済む場合 → 部分リフォームを検討
  • 構造部分に問題がある、全体的に劣化が激しい場合 → 現況のまま売却または解体も視野
  • 立地が良く、リフォーム費用を売却価格に反映できる見込みがある場合 → リフォームを積極検討

【参考出典】 - 【フラット35】リノベ|住宅金融支援機構
https://www.flat35.com/loan/lineup/reno/index.html - 安心R住宅|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000038.html

3-2. 効果的なリフォーム箇所

費用対効果の高いリフォーム箇所を優先的に検討しましょう。

外観の改善

外壁塗装や庭の手入れは、物件全体の印象を良くする最も効果的な方法です。買主が最初に目にするのは外観であり、第一印象が悪いと内覧すらしてもらえないこともあります。

外壁塗装の費用は一般的に80〜150万円前後(30〜40坪・塗料次第)ですが、物件の印象を大きく変えられるため、費用対効果は比較的高いと言えます。庭の草刈りや剪定は数万円で済むため、必ず実施すべきです。

水回りの設備交換

浴室、キッチン、トイレなどの水回りは、買主が最も気にする箇所の一つです。これらが古いと、購入後すぐにリフォームが必要になるため、購入を躊躇する要因となります。

ただし、全ての水回りを交換すると数百万円かかるため、状態を見ながら優先順位をつけましょう。例えば、キッチンとトイレだけを交換し、浴室は清掃で済ませるといった選択も有効です。

内装の補修

壁紙の張り替え、床の張り替えなどで見栄えを良くすることも効果的です。

費用は延床・仕様・工法により大きく変動しますが、目安として以下の通りです。

リフォーム箇所 費用相場 備考
壁紙張り替え 800〜1,500円/㎡ 量産クロス中心の相場帯
フローリング張り替え 10,000〜30,000円/㎡ 材質・直貼り/重ね貼りで変動
外壁塗装 80〜150万円前後 30〜40坪・塗料次第

全室を一度にリフォームするのではなく、リビングや玄関など、買主の目に留まりやすい箇所を優先的にリフォームする方法もあります。

【参考出典】 - 壁紙の張り替え費用はいくら?|株式会社ゼンシン
https://zen-reform.com/wallpaperreplacement/ - フローリング張替えの費用相場|RenoLIKE
https://column.renolike.com/flooring-harikae-hiyo/ - 外壁塗装の費用相場(2025年版)|クラベル職人
https://kuraberu-shokunin.jp/media/gaiketsusou-hiyou-souba/

3-3. リフォーム費用を抑えるポイント

限られた予算で最大限の効果を得るための工夫を紹介します。

部分的なリフォームに限定する

傷みの激しい箇所のみを重点的に直すことで、コストを抑えられます。例えば、雨漏りしている部分の屋根修理や、腐食が進んでいる床の張り替えなど、最低限の修繕に留める方法です。

見た目を良くすることも重要ですが、構造的な問題を優先的に解決することで、買主に安心感を与えられます。

補助金制度の活用

自治体によっては、空き家リフォームに関する補助金制度がある場合があります。

市川市では「空家除却・活用事業補助金」のほか、「空家活用マッチングサービス」を運用しています。対象や上限額は年度により変動するため、最新の要綱を必ず確認しましょう。

補助金の額や条件は自治体によって異なりますが、リフォーム費用の一部を補助してもらえることで、負担を軽減できます。

複数のリフォーム業者から相見積もりを取る

価格や内容を比較検討することで、適正価格でリフォームできます。最低でも3社から見積もりを取り、金額だけでなく、工事内容や保証内容も確認しましょう。
不動産会社が提携しているリフォーム業者を紹介してもらうことで、空き家売却に適したリフォーム内容を提案してもらえる場合もあります。

【参考出典】 - 市川市空家除却・活用事業補助金について|市川市
https://www.city.ichikawa.lg.jp/cit06/1111000086.html - 市川市空家活用マッチングサービス|市川市
https://www.city.ichikawa.lg.jp/cit10/0000449407.html

✓ポイント: リフォームは費用対効果を最優先に考えましょう。全面リフォームが必ずしも正解ではなく、物件の状態や立地、市場のニーズに応じて判断することが重要です。外観、水回り、内装の順で優先順位をつけ、部分的なリフォームに留めることで費用を抑えられます。補助金制度の活用や相見積もりの取得も忘れずに行いましょう。

4. まとめ:空き家売却は早期の行動がカギ

長年放置された空き家でも、適切な準備と工夫次第で売却は十分に可能です。重要なのは、放置し続けることのリスクを理解し、早めに行動を起こすことです。

空き家を放置するほど、資産価値は下落し、税負担は増加し、近隣とのトラブルや法的リスクも高まります。今日始めることが、明日の負担を減らすことにつながります。

売却方法は仲介、買取、空き家バンクの3つが主な選択肢ですが、それぞれにメリットとデメリットがあります。自分の状況に合った方法を選び、複数の不動産会社に相談することで、最適な売却プランが見えてきます。

また、遺品整理や清掃、相続登記といった基本的な準備を怠らず、DIY可能物件としてのアピールやリフォームプランの提示など、買主のニーズに応じた工夫を取り入れることで、売却成功の確率は高まります。

リフォームについては、費用対効果を冷静に判断し、必要最小限に留めることが賢明です。外観、水回り、内装の順で優先順位をつけ、補助金制度も活用しながら進めていきましょう。

市川市で空き家の売却をお考えの方は、ぜひ株式会社NR企画にご相談ください。地域に根ざした豊富な経験と実績を活かし、お客様の空き家売却を全力でサポートいたします。物件の状態や立地に応じた最適な売却方法をご提案し、遺品整理からリフォーム、売却後のサポートまで、ワンストップでお手伝いします。

空き家売却は早期の行動がカギです。専門家である不動産会社に相談し、具体的な行動を起こすことで、空き家問題は必ず解決できます。一人で悩まず、まずは相談から始めてみませんか。

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監修者情報

株式会社 NR企画
代表 北川圭一

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